産後の肌荒れが治らない!?5つの肌荒れ原因と対策

女性の肌は、《小児期》《思春期》《成熟期》《更年期》《老年期》と年を重ねるごとに変化していきます。中でも妊娠(出産前・出産後)には特に大きな変化があります。

妊娠というと、バストやおなか、お尻のサイズが大きくなっていったり、つわりを意識する方は多いかと思いますが、肌の変化を意識するママさんは多くなく、肌荒れがひどくなってから「あれ?」と慌てる方が多かったりします。気づいたときには肌荒れが治らない・治りにくいなんてことも・・・

ここでは、産前・産後の肌荒れについて紹介していきます。

産後の肌荒れが治らない原因はターンオーバーの乱れが原因

産後の肌荒れが治らない・治りにくい原因には肌のターンオバーの乱れが主な原因となります。肌の元となる細胞は皮膚の下層にある基底層と呼ばれる場所で細胞分裂を繰り返しながら上へ上へ押し上げられていき、普段私たちが見ている皮膚となります。この皮膚は最終的にはアカとなり剥がれ落ちていきます。このサイクルをターンオーバーと言います。

ターンオーバーのサイクルは個人差や部位によって異なりますが、健康的は肌は約28日を1サイクルとして皮膚は絶えず新しい肌に生まれ変わり続けています。ですが、女性の身体は体調や心の変化でターンオーバーが乱れることがあります。

ターンオーバーが乱れてしまうと、細胞分裂で新しい皮膚ができているのに、古い皮膚が剥がれ落ちなかったり、逆に新しい皮膚がまだできていないのに、古い皮膚が剥がれ落ちたりします。

ターンオーバーが大きく乱れてしまうと、シミやそばかす・ニキビができやすくなったり、肌の保湿力が低下して肌がカサカサになったり、色素が沈着してしまい肌の透明感がなくなったりします。

では、「産前・産後のターンオーバーの乱れで、肌荒れが治らない!」なんてことが無いように、できることを詳しく確認していきたいと思います。

出産の前後にターンオーバーが乱れてしまう5つの原因と対策

出産前・出産後でターンオーバーが乱れてしまう原因は一つではありません。そのため「これをすれば、必ず改善する」といったものではなく、複合的に対策をしていく必要があります。そんな中でも出産前、出産後でターンオーバーが乱れてしまうのには下記の5つの事柄が深く関わっています。

ターンオーバーが乱れてしまう5つの原因
  1. 産前・産後はホルモンバランスが乱れる
  2. 食生活の乱れで肌荒れが悪化
  3. 妊娠や慣れない育児によるストレス
  4. 便秘と肌荒れの関係
  5. 妊娠中の睡眠不足が肌荒れの原因に

これら5つを改善できれば、出産前・出産後の治りにくい肌荒れの改善が期待できるはずです。

産前・産後はホルモンバランスが乱れる

「生理の前後は肌荒れがひどい!!」と感じる女性は少なくないはずです。これは2種類の女性ホルモン「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の分泌量が排卵を境に大きく変化するためです。

まず排卵前にはエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌量が増えます。これは、女性らしさをつくるホルモンと言われ、自律神経を活発にしたり血流をよくし、コラーゲンの量を増やします。つまり排卵前のこの時期は肌荒れではく、肌のコンディションが良くなるなる傾向があります。

問題はここから。エストロゲンの分泌量は、排卵前後を境に一気に減少します。そして、エストロゲンの分泌量が減ったタイミングと同時期に分泌量が増えてくるのが、もう一つの女性ホルモンであるプロゲステロン(黄体ホルモン)です。プロゲステロンは血糖値を下げたり、からだをむくみやすくすると同時に、皮脂の分泌量を増やす作用があります。

皮脂そのものは、雑菌や紫外線等の外部刺激から皮膚を守る働きを持ちますが、不必要に皮脂が多くなりすぎると毛穴がつまってしまいニキビや吹き出物の原因になってしまいます。また、エストロゲンが減少することで肌が乾燥しごわつきやすくなっています。生理後に「あれ?化粧ののりが悪い!!」と感じるのはこのためです。

前置きが長くなってしまいましたが、出産前・出産後は、生理以上にホルモンバランスが乱れます。これは身体が子供の産む準備に必要なプロセスなので必要不可欠なのですが、お肌にとっては決して良いこととは言えませんね。

食生活の乱れで肌荒れが悪化

妊娠すると個人差があるものの、「つわり」がおこります。つわりの発生原因は明確にはわかっていませんが、大きく乱れるホルモンバランスが、脳幹内に存在する嘔吐中枢を刺激することにより起こるとする説が有力です。今回はつわりが起こる原因ではなく、その症状と対策が重要となってくるので、原因の追及はまた今度にしておきます。

では《つわり》になるとどうなるか。細かく説明しなくても多くの女性がご存じだと思いますが、《吐き気》《食欲不振》《嘔吐》《脱水症状》《不快感》《倦怠感》《便秘》等の症状があらわれます。つわりの症状がひどい方であれば「何も食べたくない!」「水すら飲みたくない!」なんて経験をされた方も少なくありません。

私たち人間の身体は当然ですが、食物を取り込んで身体を作っていきます。もちろん皮膚もそうです。ファーストフードやスナック菓子・コンビニ弁当等を多く食べると腸内環境が悪化し、肌荒れを起こす場合がありますが、栄養不足になると、健康な皮膚そのものを作り出すことができず、結果肌荒れになってしまう場合があります。

《つわり》がひどい時の対策

肌荒れを防ぐためには、栄養バランスの整った食事を摂ることが重要になってきますが、それができないのが《つわり》です。結論を言ってしまうと、無理はせず、《食べられる物》を《食べられる時》に《食べられる量》食べるようにしましょう。

肌荒れを防ぐために無理に栄養バランスが整った食事を決まった時間に、決まった量を取るのは、つわりがひどい方にはまず無理です。ストレスをためながら無理をして食べても、母体や胎児にも良くありません。まずは母体と胎児のことを第一に考えて食事をするようにしましょう。

人によってつわりの時に食べられるものは違ってきますが、以下のような食べ物が比較的に食べやすいといわれているので参考にしてみてください。

《つわり》でも比較的食べやすい食べ物
  1. アイス
  2. オレンジ・グレープフルーツ・みかん等の柑橘類
  3. そうめん
  4. すのもの
  5. おかゆ
  6. ゼリー・ヨーグルト等

妊娠や慣れない育児によるストレス

妊娠は新たな命の誕生を意味します。妊娠を望む方にとって、これほど嬉しいことは他に無いと思います。ですが、妊娠中の十月十日常に幸せな気持ちでいられるわけではありません。逆にホルモンバランスの乱れによる気分の浮き沈み・身体の見た目の変化・体調不良等、妊娠期間中は非常にストレスが溜まりやすい状態になっています。これは出産後の慣れない育児にも同じことが言えます。

ストレスと肌荒れには深い関係があり、肌荒れを防ぐためにはこのメカニズムを知っておく必要があります。まず、私たちには自律神経といって、内臓や血管の働きをコントロールしている神経があります。自律神経は役割によって、交感神経と副交感神経に分かれています。

交感神経の働き
  1. 血管が収縮し血圧が上昇
  2. 消化が抑制
  3. 瞳孔が開く
  4. 興奮する
副交感神経の働き
  1. 血管が拡張し血圧が低下
  2. 消化が促進
  3. 瞳孔が縮小
  4. リラックス状態になる

簡単に言うと、私たちが日中活動している時は交感神経が優位になっていて、睡眠中やリラックスしている時には副交感神経が優位に働いているのですが、これらはバランスを取ることで、体内の環境を整えています。ただし、強いストレスを受けると、それに対応しようとして交感神経が優位に働く時間が増えてしまいます。

例えば、「上司から無理難題の仕事を押し付けられた時」「知人と口論になった時」「あおり運転を受けた時」等です。ストレスを受けると、一種の興奮状態になるかと思いますが、これが一時であれば問題ありません。ただし、このストレスを受けている状態が長く続くと、交感神経の働きで血管収縮状態が続いてしまいます。

こうなってしまうと、血液から多くの栄養を受け取り細胞分裂を繰り返す基底層の活動が鈍り、結果ターンオーバーが乱れてしまい肌荒れを引き起こしてしまいます。これは胎児にも同じことが言えます。ストレスは胎児への栄養供給にも影響が出る場合があるのです。

ですので、肌荒れもそうですが、なにより生まれてくる新しい命の為にもストレスはできるだけ避けるようにした方が良いです。

出産前・出産後のストレス対策

妊娠中はホルモンバランスの大きな乱れの影響でストレスが溜まりやすい状態が続きます。これは出産後の育児にも同じことが言えます。ストレスを感じないようにするのはほぼ不可能です。なのでストレスと割り切って向き合うことが大切です。「妊娠中は普段よりストレスが溜まりやすい時期」であることをを認識しストレスを受け入れるようにすることで、いくらか楽になるはずです。

ただし、いくら「ストレスが溜まりやすい」と認識していても、やはりストレスはストレス。貯め続けると心にも身体にも、もちろん肌にも良くありません。ですので貯まったストレスは思いっきり発散できる場を作ってあげましょう。

「趣味に没頭する」「カラオケで思いっきり歌う」「好きなものをたくさん食べる」「買い物をする」「友達としゃべる」「とにかく寝る」等々・・・自身がストレス解消できるものなら、なんでも構いません。ストレスを受けないようにするのは難しいので受けたストレスをうまく発散していくことで、肌荒れを防止できるかもしれません。

便秘と肌荒れの関係

妊娠や育児中のママさんは便秘になりやすい状況にあることをご存じでしょうか?妊娠中はホルモンバランスの乱れや、つわりによる偏った食生活、また、妊娠中は体内に水分を留めようとする力が働くので便秘になりやすく、また、出産後の育児では、赤ちゃんの世話のいろいろなシーンで前かがみになることが増えます。すると腸が圧迫される時間が増えてしまい便秘に繋がるとされています。

便秘になるということは、便が体内に留まっている時間が長くなることを意味します。すると大腸内に残る便(タンパク質)を悪玉菌が腐敗させアンモニア等の有害物質を生成。大腸は便を硬くするために水分を吸収する働きがあり、この時に水分と一緒に有害物質も吸収してしまいます。

有害物質は血液の流れに乗り全身に運搬され汗等と一緒に体外へ排出されるのですが、この時排出された有害物質が肌に刺激を与え肌荒れを起こす原因になっていると考えられています。

産前・産後の便秘対策

便秘対策の基本は規則正しい食生活と適度な運動です。ですが、産後はともかく産前は運動にも十分注意が必要です。やはり、おすすめは、便秘解消に効果が期待できる食べ物や、飲み物です。

便秘解消効果が期待できる食べ物・飲み物リスト
  1. 食物繊維(わかめ・ひじき・大麦等)
  2. 乳製品・発酵食品(ヨーグルト・みそ・納豆等)
  3. 便秘薬

便秘は、身体に水分が不足してしまうと、水分を補うために大腸にある水分を吸収します。そのため便が硬くなり排出しにくい状況を作り出してしまいます。ですので、便秘解消のためには水分を適切に補給する必要があります。

食物繊維(わかめ・ひじき・大麦等)

わかめ・ひじき・大麦等は食物繊維の中でも水溶性の食物繊維に分類されます。水溶性の食物繊維は水に溶けてゲル状になる性質があります。ゲル状になった食物繊維は便を柔らかくし、排泄をスムーズにする効果があります。

乳製品・発酵食品(ヨーグルト・みそ・納豆等)

乳製品・発酵食品には、善玉菌であるビフィズス菌や乳酸菌が含まれていて、腸内の運動を活発化させて排便を促す効果が期待できます。

便秘薬

一番即効性が期待できるが、この便秘薬です。ですが、便秘薬に限ったことではありませんが、妊婦さんが薬を服用する場合は、必ず自己判断をせずに産婦人科等で相談するようにしてください。※中には服用できる便秘薬もあります。

妊娠中の睡眠不足が肌荒れの原因に

妊娠中に限らずに睡眠不足は決して肌に良い物ではありません。とりわけ妊娠時は自分の意思に反して夜に目が冴えてしまったり、逆に日中に眠くなったり、睡眠のリズムが大きく乱れることがあります。これにはいくつか原因があり、例えば妊娠中は妊娠を継続するために少し高めの体温が維持されるようになっています。これにより、寝つきが悪くなったり、寝苦しくなるといった症状が出る場合があります。

他にも、ホルモンバランスの乱れや、日中の運動不足等で夜の寝つきが悪くなる場合があります。このように、妊娠時は通常時より睡眠のリズムが大きく崩れます。これは産後も同様で、赤ちゃんが生まれてからしばらくは、赤ちゃん中心の生活が続きます。2~3時間おきに必要な授乳やおむつのチェック、沐浴や夜泣きなど睡眠不足になる項目は盛りだくさんです。

睡眠不足が続いてしまうと、【ストレス】の項でも触れていますが、交感神経優位の状態が続きます。この交感神経は血管を収縮する働きがあり、基底層で行われる皮膚を作るための細胞分裂の働きが悪くなって(ターンオーバーが乱れて)しまうことがあります。

特に夜の22:00~2:00は良質な睡眠をとることで、成長ホルモンが多く分泌され、荒れたお肌を修復するゴールデンタイムと呼ばれています。妊娠前は知らず知らずのうちにゴールデンタイムで修復されていたお肌が、妊娠・産後の睡眠不足の影響で成長ホルモンの分泌量が減ってしまい、急に「肌荒れが治らない!」と感じる方も少なくありません。

妊娠中や産後の睡眠不足対策

妊娠中に必要な睡眠不足対策として必要なことは、まずは運動です。初めて妊娠された方の中には、「妊娠中に運動はダメ!!」と思っているかたももおられますが、そんなことはありません。むしろ、おなかの赤ちゃんや、自身のの為に適度な運動は必要です。

もちろん激しい運動は厳禁です。おすすめできる運動は、《水泳》《ウォーキング》《マタニティーヨガ》などです。おなかに過度に力が加わる、また衝撃が加わるような運動は絶対に避けるようにしましょう。また、これらはあくまで一般的な妊婦さんにオススメできる運動です。妊婦さんの状況でできるもの、できないものが変わってきますので、運動を取り入れる前にかかりつけの産婦人科で念のため確認を済ませておきましょう。

以降は一般的な睡眠不足解消法となりますが、妊娠や育児でなかなか困難ですが、パパさんや周りの家族にも協力してもらって、できる範囲でバランスのとれた食事や規則正しい生活を意識しましょう。

質の良い睡眠をとるためは入浴も大切です。これには幾つか理由があるのですが、入浴しリラックスすることで自律神経である副交感神経が優位に働きます。副交感神経が優位に働くことで眠りに入りやすくなります。

また、私たちの身体は体温が下がると眠たくなるようになっています。そのため、お風呂につかり一時的に体温を上げることで、入浴後の温度低下時に眠りに入りやすくなるとされています。ただし熱いお湯につかると、交感神経が優位に働いてしまい逆に目が覚めてしまうことがあるので、お風呂の温度は39度程度までにとどめ入浴時間は20分程度にします。

入浴後体温が下がるのは、入浴を終えてから約90分後となるので、就寝の約90分前の入浴がおすすめです。肺や心臓などへの負荷が少ない半身浴も睡眠不足解消に効果的とされています。

まとめ-産後の肌荒れが治らない!?5つの肌荒れ原因と対策

いかがでしたでしょうか?
今回は、産前・産後の肌荒れが治らない時の原因と対策を5つ紹介させていただきました。産後の肌荒れが治らない原因は一つではないので、できることから一つずつ始めていきましょう。

妊娠・出産・育児、どれも素晴らしい事ではありますが、(特に女性にとっては)負担が大きいものでもあります。家族の協力がなければ肌荒れの改善もなかなか難しいでしょう。この記事を読まれたパパさんは是非、ママさんのサポートをできる限りしてあげてくださいね。