コレステロールアイキャッチ

一昔前と比べ日本では、食生活の欧米化や運動不足、喫煙・睡眠不足等、様々な理由でいわゆる生活習慣病が増加してきたと言われています。そして、この生活習慣病と深く関わり合っているのがコレステロールです。健康診断等で「コレステロール値が高い」と診断された方も少なくないと思います。

ここでは、生活習慣病を予防するたの「コレステロール値」のコントロールについてまとめています。

コレステロールとは?

人間の血中には4つの脂質が存在しています。【中性脂肪】【リン脂質】【遊離脂肪酸】そして【コレステロール】です。これらは、それぞれが私たち人間の体の健康維持に必要不可欠なものですが、基準値の範囲を大きくはずれてしまうと、逆に私たちの体に悪影響を及ぼします。

中でも肝臓で生成されるコレステロールは、人の細胞膜や消化吸収に必要な胆汁酸、ホルモンの元となる重要な物質となるのですが、コレステロール(LDL)が血中に増えすぎると動脈硬化の原因になってしまいます。

LDLコレステロールとHDLコレステロール

コレステロールは血流にのり、内臓や筋肉など全身に運ばれます。ただ、コレステロールは脂質(あぶら)なので、それ単体では血液に溶け込み血流にのることができません。

これを可能にしているのが「たんぱく質」です。たんぱく質は水と馴染みやすい性質があるので、たんぱく質がコレステロールを包むことで血液に溶け込むようになります。このたんぱく質に包まれたコレステロールをリポタンパクと言います。

リポタンパクはその大きさと重さによって4つに分かれます。

「リポタンパク」の重さと名前
重さ(軽い順) 名称
軽い カイロミクロン
超低比重リポタンパク(VLDL)
低比重リポタンパク(LDL)
重い 高比重リポタンパク(HDL)

そして、主にコレステロールを運ぶ働きをもつのが「低比重リポタンパク(LDL)」と「高比重リポタンパク(HDL)」となります。

LDLコレステロールの働き

LDL(Low Density Lipoprotein)コレステロールは、肝臓で生成されたコレステロールを血流にのせて体中の細胞に運搬する役割を持ちます。LDLは体中にコレステロールを運搬し、性ホルモン、副腎皮質ホルモンなどのステロイドホルモン、胆汁酸、ビタミンDの原料となります。これは私たちの生命を維持するために必要不可欠な重要なものです。

ただし、LDLは生活習慣の乱れで簡単に増加してしまいます。コレステロールは脂(あぶら)です。これが基準値以上に血流に溶け込むと容易に想像がつくと思いますが、血管壁に不要な脂が沈着します。これをプラークと呼びこのプラークが原因となり動脈を塞ぎ血流の流れを極端に悪くしてしまう可能性があるのです。

そうなると、動脈硬化性疾患である心筋梗塞や狭心症、また脳梗塞等の血管に関わる重大な病気にかかってしまうリスクが高まります。そのためLDLコレステロールは悪玉コレステロールとも呼ばれています。

HDLコレステロールの働き

HDL(High Density Lipoprotein)コレステロールもLDL(Low Density Lipoprotein)コレステロールと同様にコレステロールを運搬する働きがあるのですが、運搬する行き先がLDLと真逆となります。

HDL(High Density Lipoprotein)コレステロールはLDLによって、血流によって体中に運搬された不要なコレステロールを回収、肝臓まで運ぶ働きがあります。そのため動脈硬化に関わる疾患を予防する枠割がありHDLコレステロールは善玉コレステロールとも呼ばれています。

悪玉コレステロールを撃退するためにしたいこと

先程もお伝えした通り、悪玉コレステロールと呼ばれているLDLコレステロールが完全悪というわけではありません。大切なのは、体中にコレステロールを運ぶLDLとその逆に不要なコレステロールを回収するHDLのバランスです。

生活習慣が乱れるとLDLは増加しやすくなるので、LDLコレステロールが基準値以上である場合は、まず生活習慣から見直すことから始めていきましょう。

悪玉コレステロールを撃退するための食生活の見直し

コレステロール1

コレステロールは体内で合成され作られる他、私たちの日頃の食事からも摂取されます。つまりコレステロールが多く含まれる料理や食材を避けることで血中のコレステロール量を一定量減らす効果が期待できます。

コレステロール値が上昇しやすい料理や食材
  1. 肉類(特に脂身や内臓)
  2. 卵やバター等の乳製品
  3. 酒類
  4. ファーストフードやスナック菓子
  5. 油を使用した料理全般

逆にコレステロール値抑制が期待できる食材は以下のようなものがあります。

食物繊維

コレステロール値抑制が期待できる食材
  1. 野菜や海藻
  2. キノコ
  3. 豆類

上記の食材は食物繊維を多く含みます。食物繊維は血糖値を抑制する効果がある他、体内のコレステロールを吸着し体外に排出する働きがもあります。

ただ、食事から摂取し吸収されるコレステロールは体内で合成されるコレステロールの約3分の1程度となっています。つまり圧倒的に体内で合成されるコレステロール量の方が多いです。ですので、LDLコレステロール値を下げるためには食生活の見直しとともに他の対策も並行して行っていく必要がある場合があります。

悪玉コレステロールを撃退するために適度な運動を

適度な運動は私たち人間の体の健康維持に欠かせないものです。適度な運動を行うことで、糖や脂質の代謝がよくなります。もちろん悪玉コレステロールの抑制する働きもあります。

適度な運動が身体に及ぼす効果
  1. 悪玉コレステロールの抑制・善玉コレステロールの増加
  2. 内臓機能の活性化
  3. 血糖や血圧の低下
  4. 中性脂肪の低下etc・・・

悪玉コレステロールを下げるためのオススメな運動

筋肉を動かすと代謝が上がるのでどのような運動であっても悪玉コレステロールを抑制する効果が期待できますが、できれば無酸素運動より有酸素運動がオススメです。

無酸素運動とは?

無酸素運動

無酸素運動は筋力トレーニングや短距離走のような、爆発的に強い力が必要な運動の事です。これらの運動はただ筋力がUPするだけと思われている方も少なくないと思いますが、基礎代謝量がもっとも多いのが筋肉です。

筋肉が肥大化すればそれだけ基礎代謝量も多くなり基礎代謝の量が多くなれば悪玉コレステロールの抑制にもつながります。

有酸素運動とは?

有酸素運動

有酸素運動は身体にかかる負荷が比較的な軽めの運動で、酸素をつかって筋肉を動かして、悪玉コレステロールと密接に関わる脂肪を燃焼します。

そのため基礎代謝をUPさせる無酸素運動よりも直接脂肪を燃焼させる有酸素運動のほうが悪玉コレステロールを抑制させるためには、より効果的とされています。

具体的には、水泳やウォーキング・サイクリングなどが効果的です。また、個人差はあるものの脂肪が燃焼されるのは有酸素運動をはじめてから30分程度必要とされています。そのため、最低でも30分以上継続的に有酸素運動をしなければ、その効果が期待できません。(数分のインターバルは可)

まとめ‐悪玉コレステロールを撃退!?動脈硬化を予防するためにしたいこと

このように適度な運動、そして肉類や乳製品を控えめにしたバランスの取れた食事である程度悪玉コレステロールを撃退することができます。

ただし、悪玉コレステロールの多くは体内で生成されるため、身体に何らかの異常が出てしまうと、食事や運動ではコレステロールのバランスが保てない場合があります。もちろん遺伝の影響もあります。

そういった場合はコレステロール値を下げることができる便利なサプリなどもありますが、とりあえず医師に相談するようにしましょう。もちろんそういった診察をうけることで、コレステロール値を下げる薬を処方してもらえるケースもあります。