運転者標識アイキャッチ

日本の道路交通法では、ドライバーの様々な状況に合わせて運転者標識を掲示する義務、もしくは努力義務が必要な場合があります。免許取りたてのドライバーに掲示義務がある初心運転者標識、俗に言う「若葉マーク」「初心者マーク」がいい例ですね。

初心運転者標識以外にもいろいろな運転者標識があるのですが、これらの運転者標識は掲示義務があるドライバーの問題ではありません。掲示されている以上、それを確認したら、他のドライバーにもそれ相応の対応が求められます。

もし怠れば道路交通法違反となるので、掲示義務、努力義務に当てはまらないドライバーもしっかりと確認していきましょう。

4つの運転者標識

運転者標識は主に以下の4つです。

4つの運転者標識
  1. 【初心運転者標識】
  2. 【高齢運転者標識】
  3. 【身体障害者標識】
  4. 【聴覚障害者標識】

初心運転者標識

初心運転者標識

最もなじみ深いのがこの初心運転者標識(しょしんうんてんしゃひょうしき)ですね。俗に言う「初心者マーク」「若葉マーク」のことで普通自動車の免許を取得している方なら一度は掲示したことがあるはずです。

初心運転者標識の表示対象者と掲示義務について

初心運転者標識は普通免許を受けてから、通算して1年経過していないドライバーに掲示義務があります。通算して1年経過する必要があるので、仮に免停などで免許の効力が切れている期間があれば、その期間は省いて1年経過する必要があります。

また、初心運転者標識は上記の該当ドライバーに掲示義務があるため、掲示していない場合は道路交通法違反となります。

初心運転者標識等の表示義務違反
反則金 4,000円
行政処分点数 1点

逆に、通算1年以上の運転経験があった場合、初心運転者標識を掲示してはいけないという道路交通法はありません。つまり、運転経験が1年以上ある場合であっても、ペーパードライバーや運転に自信がない方は初心運転者標識を掲示したまま車両を運転することが可能です。

初心運転者標識を掲示する場合は、車体の前面と後面の両方に、地上0.4メートル以上1.2メートル以下の見やすい位置に表示しなくてはいけません。一時期、初心運転者標識が数十枚掲示された車両が話題になりましたが、道路交通法上、車両の前後の見やすい位置に各1枚の計2枚を掲示とされているだけで2枚以上の掲載を禁止する文言はありません。

そのため、規定の位置に各1枚の計2枚がきっちりと掲示されているなら2枚以上掲示しても道路交通法違反になることはないでしょう。

初心運転者標識が掲示されている車両が確認できた場合、周囲を走行するドライバーに求められる遵守事項

初心運転者標識は何も、「私は運転初心者ですよ」と知らせるためのものではありません。初心運転者標識が掲示されている車両があれば、周りのドライバーにはそのを車両を保護する義務が生じます。

仮に、初心運転者標識が掲示されている車両に対して危険防止以外のために、「割り込み」や「幅寄せ」等をすると道路交通法違反となります。

初心運転者等保護義務違反
反則金 大型車
中型車
7,000円
普通車
二輪車
6,000円
小型特殊 5,000円
行政処分点数 1点

高齢運転者標識

高齢運転者標識

高齢運転者標識は「シルバーマーク」や「高齢者マーク」と呼ばれ、道路交通法において普通自動車を運転する70歳以上のドライバーが掲示するように定められて標識となります。

この法律は1997年の道路交通法の改正に伴い設けられたもので、改正当初は初心運転者標識に似たデザインで主となる色はカキ色とレモン色で形は雫の形を模したようなデザインとなっていました。

高齢運転者標識は通称「もみじマーク」と呼ばれていましたが、「枯れ葉マーク」や「落ち葉マーク」など好ましくない表現が頻繁に使用されるようになり、2011年から現在の四葉のクローバーにシニアのSが組み込まれたデザインとなっています。

高齢運転者標識
1997年~ 2011年~
高齢運転者標識2 高齢運転者標識

高齢運転者標識の表示対象者と掲示義務について

高齢運転者標識は普通自動車を運転できる免許を受けた、年齢が70歳以上の人で加齢に伴って生ずる身体機能の低下が自動車の運転に影響を及ぼすおそれのあるドライバーが表示する運転者標識となります。

提示義務についてですが、これは道路交通法の改正で揺れ動いた経歴があります。

高齢運転者標識の掲示義務の歴史
1997年 75歳以上を対象に努力義務として導入。努力なので、掲示しなくても道路交通法違反にはならない。
2002年 努力義務の年齢が75歳以上から70歳以上に引き下げられる。
2008年 道路交通法改正で高齢運転者標識の掲示が義務化に。
2009年 自ら高齢者であることを周囲にしらせることで、事件に巻き込まれるリスクが高くなる等、様々な要因で反発が強く再び努力義務へ。

2019年現在、高齢運転者標識の掲示は努力義務のままですが、近年高齢者ドライバーのアクセル・ブレーキ踏み間違い等の事故が多くメディアで露出していることもあり、今後の道路交通法の改正で再び表示義務の議論になる可能性もあるかもせいれません。

高齢運転者標識が掲示されている車両が確認できた場合、周囲を走行するドライバーに求められる遵守事項

高齢運転者標識が掲示されている車両があれば、周りのドライバーにはその車両を保護する義務が生じます。

仮に、高齢運転者標識が掲示されている車両に対して危険防止以外のために、「割り込み」や「幅寄せ」等をすると道路交通法違反となります。違反者は、初心運転者等保護義務違反が問われることになります。

初心運転者等保護義務違反
反則金 大型車
中型車
7,000円
普通車
二輪車
6,000円
小型特殊 5,000円
行政処分点数 1点

身体障害者標識

身体障害者標識

身体障害者標識は、2002年の道路交通法の改正で導入された法律で、普通免許の交付を受け、かつ肢体不自由の障害を持ったドライバーが掲示する運転者標識となります。

デザインは上に表示されているように、四葉のクローバーを模していて、通称「よつばマーク」「クローバーマーク」と呼ばれています。

身体障害者標識の表示対象者と掲示義務について

身体障害者標識は、普通自動車を運転することができる免許を受けた人で、肢体不自由であることを理由に当該免許に条件を付されているドライバーが運転する車両に掲示する必要がある運転者標識となります。

肢体不自由(したいふじゆう)とは?

肢体不自由(したいふじゆう)とは、四肢(両手・両足)もしくは、体幹(頭と四肢を除いた胴体部分)の一部が病気や怪我等の理由で長期にわたり日常生活動作に支障をきたす状態のことを言います。

身体障害者標識を掲示する場合は、他の運転者標識と同様に周辺のドライバーから見えやすい車両の前後に各1枚表示する必要があります。(地上0.4メートル以上、1.2メートル以下の位置)

ただ、身体障害者標識は掲示義務はなく、「できる限り掲示するよう努める」となっているので、仮に掲示していなくても高齢運転者標識同様に道路交通法違反にはなりません。

身体障害者標識が掲示されている車両が確認できた場合、周囲を走行するドライバーに求められる遵守事項

身体障害者標識が掲示されている車両があれば、周りのドライバーにはその車両を保護する義務が生じます。

仮に、身体障害者標識が掲示されている車両に対して危険防止以外のために、「割り込み」や「幅寄せ」等をすると道路交通法違反となります。違反者は、初心運転者等保護義務違反が問われることになります。

初心運転者等保護義務違反
反則金 大型車
中型車
7,000円
普通車
二輪車
6,000円
小型特殊 5,000円
行政処分点数 1点

聴覚障害者標識

聴覚障害者標識

聴覚障害者標識は2008年の道路交通法の改正で導入された法律で、聴覚障害の為本来免許取得の基準に満たない者でもいくつかの条件を満たすことで運転を許可されているドライバーが掲示する必要がある運転者標識となります。

聴覚障害者標識は主となる色は緑と黄色で、デザインは「チョウチョ」と「聴(ちょう)」をかけ、チョウチョの羽は人間の両耳を模しています。

聴覚障害者標識の表示対象者と掲示義務について

聴覚障害者標識は、普通自動車を運転することができる免許を受けた者で、聴覚障害があることを理由に車両を運転するために条件が必要なドライバーが掲示する必要があります。

聴覚障害者が車両を運転するために必要な条件
  1. 特定後写鏡(ワイドミラー)の設置
  2. 運転する車両を限定

聴覚障害者標識の掲示は「努力義務」ではなく「表示義務」となるため、該当ドライバーは必ず聴覚障害者標識を車両の前後に各1枚、地上から0.4メートル、1.2メートルの位置に掲示する必要があり、掲示が無い場合は車両を運転することはできません。

もし、該当ドライバーが聴覚障害者標識が掲示されていない状態で運転をすると道路交通法違反となり、以下の罰則が適用されます。

聴覚障害者標識の表示義務違反
反則金 4,000円
行政処分点数 1点

聴覚障害者標識が掲示されている車両が確認できた場合、周囲を走行するドライバーに求められる遵守事項

聴覚障害者標識が掲示されている車両があれば、周りのドライバーにはその車両を保護する義務が生じます。

仮に、聴覚障害者標識が掲示されている車両に対して危険防止以外のために、「割り込み」や「幅寄せ」等をすると道路交通法違反となります。違反者は、初心運転者等保護義務違反が問われることになります。

初心運転者等保護義務違反
反則金 大型車
中型車
7,000円
普通車
二輪車
6,000円
小型特殊 5,000円
行政処分点数 1点

まとめ-知らなかったでは済まされない4つの運転者標識

普段から、譲り合い・安全運転の精神でハンドルを握られている方はあまり気にしなくてもよいことになりますが、【初心運転者標識】【高齢運転者標識】【身体障害者標識】【聴覚障害者標識】が掲示されている車両が走行していれば、周辺のドライバーはその車両を保護する義務が生じるということを覚えておきましょう。無理な割込や幅寄せは道路交通法違反となってしまいます。

また、【高齢運転者標識】【身体障害者標識】は、2019年現在掲示義務ではなく努力義務となってい掲示していなくても道路交通法違反にはなりませんが、掲示することでより安全に運転することができる(可能性がある)ので、できる限り掲示するようにしましょう。