2017年6月5日、神奈川県足柄上郡大井町の東名高速道路下り線で起きた「東名高速あおり事故」。
2018年7月2日、大阪府堺市南区で大型バイクにあおり運転をした末、大学4年(当時22)を死亡させた事件。
2019年8月10日、茨城県の常磐自動車道の守谷サービスエリア付近で、あおり運転を繰り返した後車を無理やり停車させ相手運転手に暴行を加え、あおり運転加害者の車に乗っていた女性が携帯電話で被害者を撮影した事件。
このような悪質なあおり運転がメディア等で多く露出され社会問題に発展しました。あおり運転は稀に見る特殊な事案ではなく、車やバイクを利用する方であれば一度は経験があるのではないでしょうか?
ここではあおり運転を「しない」「させない」ための対策をまとめています。
あおり運転とは?
あおり運転とは、道路を走行している自動車や自動二輪、自転車に対して、他のドライバーが「あおり」行為を行うことを言います。あおり運転行為の具体例は後述で詳しく確認していきますが、他のドライバーに対して故意に事故を誘発させる(可能性がある)運転は全てあおり運転に該当する可能性があります。
あおり運転をすると、【車間距離不保持違反】【急ブレーキ禁止違反】【警音器使用制限違反】等様々な道路交通法を違反している可能性がありますが、残念な事に今のところ、「あおり運転」自体は道路交通法に定義はなく、それ自体は違反にはならないのです。
ただし、あおり運転が一向に減らず、冒頭で少し触れているような死傷者がでるような事態に発展するケースも少なくない為、警察庁は「あおり運転」にあたる行為自体に罰則を定める法改正を進めています。
あおり運転に該当する行為
先程少し触れたように、他のドライバーに対して故意に事故を誘発させる(可能性がある)運転は全てあおり運転に該当する可能性があります。以下の項目のうち1つでも該当するようなものがあれば、自身があおり運転をしていることを強く認識する必要があります。
- 前方を走行する車両に対して極端に車間を詰める行為
- 前方を走行する車両に対してパッシングやハイビームを継続的に行う行為
- 道路交通法上、必要の無い時にクラクションを鳴らす行為
- 前方・後方を走行する車両に対して、車両を左右に振り威嚇する行為
- 対象の車両の前にでて不必要なブレーキを踏む行為
あおり運転を誘発する行為
あおり運転は、絶対にしてはいけない意見な運転です。ただ注意しておきたいのが、自身があおり運転を誘発している可能性です。あおり運転を受けた側は「私は被害者!何も悪くない。」と思い込みがちですが、知らず知らずのうちにあおり運転を誘発するきっかけを作っている可能性があります。
【あおり運転に該当する行為】と重複する部分がいくらかありますが、下記に該当する運転をした場合、あおり運転を誘発している可能性があるので注意しましょう。
- 法定速度を極端に下回る速度で走行している場合
- 追い越し車線を走り続けている場合
- 道路交通法上、必要のない時にクラクションを鳴らした場合
- 強引な割り込みをしてしまった場合
- パッシングやハイビームをしてしまった場合
女性やお年寄りに多い傾向がある低速走行。スピード違反が危険なように低速走行も後続車にとっては追突の危険がつきまとう危険な運転となります。高速道路等に法定最低速度が設けられているのはそのためです。
追い越し車線は、その名の通り車両を追い越すための車線です。追い越しを終えた車両は速やかに走行車線に戻る義務があります。また、追い越し車線を走行中でも後続車が追い付てきたら、安全を確認して走行車線に移動する必要があります。
クラクションを鳴らしていい(鳴らさなければならない)状況は主に下記の2つです。
【①−見通しのきかない交差点・曲がり角・上り坂で指定された場所】
【②−危険を回避するためにやむを得ない場合】
つまり、原則としてクラクションは鳴らしてはいけません。少し強引に割り込まれたり、急ブレーキを踏まれたりした場合でもこちらの安全が確保されているようならクラクションは鳴らしてはいけないといくことを覚えておきましょう。
あおり運転を誘発する典型が強引な割り込みです。車線変更をする際は前を走行する車両や後続の車両と安全な距離が保てる状態で車線変更するようにしましょう。
パッシングは、「感謝・お礼」に使われるケース、強引な割り込みや急ブレーキに対しての抗議に使用されることがあります。また、対向車や前方を走行する車両がいてる時のハイビームも道路交通法違反であおり運転の誘発に繋がります。
あおり運転をされないための対策
あおり運転をされない・させないためには、上で紹介した【あおり運転を誘発する行為をしない】他にもいくつか心がけて運転すべき項目があるのでいくつか紹介しておきます。
ドライブレコーダーは相手の違法行為を立証するために非常に有効な手段の一つですが、他のドライバーの運転の様子を記録するドライブレコーダーは、あおり運転抑止にも大きな効果があります。そのため、ダミーカメラや【録画中】【レコーディング】等のステッカーを車両に貼ることで、他のドライバーのあおり運転抑止につながります。また、ドライブレコーダーは自分の過失さえ立証してしまうので、自身の安全運転意欲を向上させるツールにもなります。
前後問わず車間距離を詰められると、ドライバーの意図とは関係なく車間を詰めてしまうと、相手に威圧感を与えてしまいあおり運転をされてしまう可能性があります。また、車間を詰めて走行しているとあおり運転加害者になってしまう場合もあります。
他のドライバーの迷惑のかかる可能性がある急発進や急ブレーキはあおり運転の原因の一つになります。危険を回避する時以外はこれらの行為を行わないようにしましょう。
実際にあおり運転をされてしまった時の対策
相手は人間です。残念なことに、どんなに安全運転を心がけていても、あおり運転をされる時はされてしまいます。そんな時の対処法を順をおって確認していきたいと思います。
あおり運転をしている側は、基本的に冷静な判断ができなくなっているケースが多いです。相手は、あの手この手でこちらにプレッシャーをかけてきますが、こちらはとにかく平常心を心がけるようにしましょう。また、身の危険を感じたらすぐに警察に通報しましょう。
あおり運転をされたからと言って、スピードを上げて逃げようとしたり、急ブレーキをして仕返しをしたりは絶対にしてはいけません。このような行為はあおり運転をされている側が加害者になってしまう可能性さえあります。
走行中なので、ここは元々クリアできている場合がほとんどだと思いますが、ドアの鍵や窓が閉まっているか再確認しましょう。窓が開いているとたとえ走行中であっても並走されて物を投げ入れられたりする可能性があります。(あおり運転の末、走行中にエアガンで撃たれるという事案も過去にあります。)
また、無理やり停車させられドアを開けられ、そのまま暴行に移るといったケースもあります。
あおり運転をされた場合、安全に先に行ってもらえる状況であれば道を譲って先に行ってもらいましょう。道を譲れば煽り行為が収まる場合もあります。道を譲ったら十分車間をとって、対象者に近づかないように心がけましょう。道を逸れることができるなら、逸れてやり過ごすのも一つの手です。
先程と少し重複しますが、絶対にドアの鍵や窓を開けないようにしてください。こちらが冷静であっても相手は冷静ではありません。コミュニケーションを取ることはまずは不可能。何を言っても無駄と考えましょう。
車両を叩いたりしてくる場合も十分に考えられますが、ドライブレコーダーやスマートフォンのカメラ等で証拠を残しつつ、こちらはあくまで籠城。警察が来てくれるのをおとなしく待ちましょう。窓を開けたり、車を降りると暴行されてしまうケースもあります。
まとめ-あおり運転を「しない」「させない」為の対策
あおり運転はされる方はもちろん、それをする側にも何のメリットもありません。ドライブレコーダーが普及している昨今、あおり運転の証拠は簡単に残ります。また、悪質なあおり運転者には「危険性帯有者」として、運転免許の停止処分が行われるケースもあります。
あおり運転をする側も「あおり運転」=「免停」になる可能性があると冷静に考えることができれば、一時の欲求を満たすために、そのような愚かな行動は簡単にとらないはずですが、そういった罰があるからではなく、思いやりや譲り合いの気持ちで危険なあおり運転が無くなってほしいものです。