胡蝶蘭1

胡蝶蘭とは?

胡蝶蘭(こちょうらん)の学名はPhalaenopsis aphrodite。ギリシャ語で「蛾のような」と言う意味を持ちます。英名はMoth orchid。これは「蛾のラン」という意味で、学名、英名共に蝶ではなく蛾というニュアンスが強く出てしまっています。和名では胡蝶蘭の名前が示す通り、蝶が優雅に舞っているように見える為その名がつけられました。

原産国地は台湾やインドネシア、フィリピン、マレーシア、パプアニューギニア等、熱帯地域に幅広く分布しています。そのため、暑さに強く寒さに弱いのが特徴の1つとなっています。

花の特徴としては、根は太く伸び茎は短く直立する、多年生の着生植物で、花茎を60cm~90cm程伸ばし、花を10輪~15輪程度(個体差によってそれ以上)のきれいな花を咲かせます。

花の色目はオーソドックスの白色から、黄色や紫、赤色や青色など様々なものがあり、お手入れも簡単な部類の花となり、匂いが少なく花粉も飛散しにくいため、【就任祝い】【昇進祝い】【開店祝い】【還暦祝い】【出産祝い】等最もお祝い事に贈られることの多いお花となっています。

胡蝶蘭の本数と花の大きさについて

胡蝶蘭を選ぶ時にポイントの1つになるのが本数と花の大きさです。まず、本数についてですが、胡蝶蘭で本数と言うと花のみを付ける「茎の数」のことでこれを花茎と言います。つまり、「本数=花茎の数」ということになります。

お店では、この花茎の数の事を「〇本立て」とか「〇本立ち」と表記されているのが一般的です。本数によっての違いは見た目の豪華さと価格です。そして贈り物として胡蝶蘭を選ぶ時は3本立てが基本となります。重要な得意先の会長・社長就任祝いや、開店・開業祝い等ワンランク上のものをチョイスするのであれば5本立てにすると良いでしょう。

次に花の大きさについてですが、胡蝶蘭は花の大きさで「大輪」「中輪」「小輪(ミディ)」の3種に大別されます。もちろんビジネスシーンでは大輪がベースになります。つまり、ビジネスシーンで胡蝶蘭を贈る時は3本立ての大輪が最もオーソドックスな形となるわけです。

中輪は豪華さが欠けてしまう為、ビジネスシーンには向きませんが、大輪と比較するとスペースを取らないので、送り先のスペースの問題がある場合は大輪よりも中輪を好まれる場合があります。豪華さだけに気を取られるのではなく、相手の事を想う気持ちが大切です。

小輪は花の大きさが、2cm~4cm程度と可愛らしいものとなっています。スペースを取らないので、テーブルや窓辺にも飾れちょっとしたプレゼントに向いています。ただしお祝い事として贈るには不向きなので注意しましょう。

胡蝶蘭を贈るときのマナー

胡蝶蘭を贈るときのマナー
  1. 胡蝶蘭は奇数本数を贈る
  2. 胡蝶蘭は【お祝い日】当日の午前中に届くよう贈るのがベスト
  3. 供花に胡蝶蘭を贈るなら白色の胡蝶蘭を
  4. 胡蝶蘭に立札を飾る
  5. ビジネスシーンでは赤色の胡蝶蘭は贈らない
  6. 胡蝶蘭をお見舞いに贈らない
胡蝶蘭は奇数本数を贈る

日本では昔から陰陽五行思想から、【奇数=縁起が良い】そして【偶数=縁起が悪い】とされています。これは、特にお祝い事には胡蝶蘭に限らず【1・3・5・7】の数字がよく使用されます。9に限って言うと【9=苦】に関連するとされ、縁起が良くないとされています。

胡蝶蘭を贈る時も基本は3本立てとなってい、ワンランク上のを選びたいときは4本立てではなく5本立てにする場合がほとんどです。2本・4本・6本と偶数本の胡蝶蘭を販売しているお店もありますが、お祝い事に贈るなら3本立て、もしくは5本立てにするようにしましょう。

胡蝶蘭は【お祝い日】当日の午前中に届くよう贈るのがベスト

胡蝶蘭を贈る時はお祝い日当日の午前中に届くようにするのが基本です。できれば午前中でも早めが良いでしょう。ただ、プライベートでもそうですが、特にビジネスシーンでは先方の都合も考慮する必要があります。

例えば、開店が午後からだったり、物理的に午前中の受け取りが困難な場合です。受け取りが困難で再配達になってしまうと、運送の揺れ等で胡蝶蘭を傷めてしまう可能性もありますし、なによりせっかくのお祝いなのに先方への印象も悪くなってしまう可能性もあります。お届け日時を確認することは失礼にあたらないので、事前に確認しておく方がよいでしょう。

供花に胡蝶蘭を贈るなら白色の胡蝶蘭を

故人の霊を慰め、弔意(ちょうい=死を悼み悲しむ気持ち)の念を込めて贈られるの生け花、このお花の事を供花(くげ・きょうか)と言います。供花には白菊やユリ等が広く使用されてきましたが、近年胡蝶蘭を供花として贈る場合も増えてきています。

お花の色目については、宗教によって異なる場合がありますが、供花として白色をNGとする宗教は少ないため白色基調とした胡蝶蘭を選んでおくと間違いはないでしょう。

胡蝶蘭に立札を飾る

就任祝いや開店祝い、上場御祝、創立記念日等のお祝い事はもちろん、お葬式や法事に胡蝶蘭を贈る場合、立札を飾るのがマナーです。

御祝の場合は、就任祝いや開店祝い等のお祝い事の内容を赤字で立札に記載し、その横、もしくは下に送り主の名前(と宛先)をを明記します。お葬式やお通夜に贈る場合は、「供」と記載した下に送り主の名前を記載します。

ビジネスシーンでは赤色の胡蝶蘭は贈らない

赤色は「赤字」や「火事」を連想させる色目になります。そのため、赤色の胡蝶蘭を贈るのは控えた方が良いでしょう。特に、ビジネスシーンでの就任祝いや開店祝等で赤色の胡蝶蘭を贈ることはタブーとされています。

胡蝶蘭をお見舞いに贈らない

胡蝶蘭に限らず、鉢植えなどに力強く根を張る花はお見舞いには向きません。というのもこれらのお花は、「病気が根付く=治らない」ということを連想させてしまうためです。お見舞いでお花を贈るならアレンジメントフラワーにするようにしましょう。

贈り物に胡蝶蘭が選ばれる理由

タイトルが入ります。
  1. 胡蝶蘭自体が縁起の良い花で、各シーンによって花言葉が選べる
  2. 胡蝶蘭は他の花と比べて花粉や匂いが少ない
  3. 胡蝶蘭は寿命が長い

胡蝶蘭自体が縁起の良い花で、各シーンによって花言葉が選べる

胡蝶蘭の花言葉は「胡蝶=蝶」が舞うように「幸福が飛んでくる」という意味がありそれだけで非常に縁起の良い花となっています。また、胡蝶蘭の花の色は【白・黄色・ピンク・青・紫etc】と様々なものがあり、色別にも花言葉が設けられている為、色々なシーンで贈り物として使用することができます。

胡蝶蘭色別花言葉
花の色 花言葉
白色の胡蝶蘭 【花言葉は「清純」】
透き通るような清らかな白色を連想させる色の胡蝶蘭の花言葉は「清純」。胡蝶蘭の白色は和服の白無垢を連想させ汚れの無い純真を示唆します。そのため、結婚式のお祝いで使用される場合がとても多い色となっています。

また、白色の胡蝶蘭には「安定」の意も含まれ、元となる花言葉「幸福が飛んでくる」と掛け合わせ、幸福が長続きすると言った意味もあります。

そのため、白色の胡蝶蘭はビジネスシーンで贈られる定番の色になっている他、新婚祝いや出産祝い、還暦祝いなどにも贈られることのある色目となります。

ピンク色の胡蝶蘭 【花言葉は「あなたを愛します。」】
ピンク色の胡蝶蘭の花言葉は「あなたを愛します」。この花言葉が示す通り、告白やプロポーズ等に用いられる色目の胡蝶蘭となります。

また、「愛=LOVE」以外にも「親愛=DEAR」の意味をこめて、友人や家族に贈る花にも用いられることもあります。

青色の胡蝶蘭 【花言葉は「愛」と「尊敬」】
青色の胡蝶蘭の花言葉は「愛」と「尊敬」。実はこの青色の胡蝶蘭は元々自然界には存在しない色目で、品種改良をおこない2012年に生まれました。

花言葉の「愛」と「尊敬」は品種改良にピンクの胡蝶蘭(花言葉:あなたを愛します。)とツユクサ(花言葉:尊敬・かわらぬ思い)を使用したことから新たにつけられました。青色は女性はもちろん、男性にも好まれる色目です。また青色の胡蝶蘭は他の色目の胡蝶蘭よりも希少なので、より、【特別】であることを演出する時にも用いられます。

その他の色目の胡蝶蘭 胡蝶蘭には、上で紹介した白やピンク、青色以外にも黄色や紫などの色目を持つものもあります。これらの色目には固有の花言葉は定着していません。

ですので、胡蝶蘭のベースとなる花言葉である「幸福が飛んでくる」⁺「贈る相手のイメージ」で胡蝶蘭を選んでみると良いでしょう。

胡蝶蘭は他の花と比べて花粉や匂いが少ない

胡蝶蘭は、とても花粉が飛散しにくい花の構造をしています。また匂いもほとんどしません。その為、運搬中はもちろん結婚式等の衣装が汚れてはいけないシーンや、飲食店、さらには病院など様々な場面で贈り物の花の定番として利用されています。花粉の飛散が少ないため、花粉症のリスクもほとんど無いと言ってよいでしょう。

ただし完全にアレルギー症状が出ないという訳ではありません。ごく稀ではありますが、胡蝶蘭が近くにあることで花粉症と同様の症状が出る場合があります。他の花と比べると症状が現れるリスクは低いですが、念のため花粉症持ちの方や病院に胡蝶蘭を贈る場合は事前に確認しておいておいた方が良いかもしれません。

胡蝶蘭は寿命が長い

胡蝶蘭が贈られる花として人気の理由のひとつとして、花の寿命にあります。胡蝶蘭は花が散ったら終わり・・・というわけではありません。花が散っても病気になったり根が腐ったりしなければ、10年程度は繰り返しきれいな花をつけてくれます。胡蝶蘭に詳しい方が適切に育てると、50年程度は繰り返し花を咲かせてくれる場合もあります。

お祝いでいただいた花を何十年も育てる人は稀でしょうが、普通に飾っているだけでも花が散るまで1ヶ月程度は咲き続けてくれます。

胡蝶蘭を贈るときの相場は?

一言に胡蝶蘭の相場といっても、お祝い事の種類や贈る相手によって相場は変わってきます。価格が安すぎる場合はもちろん、相場に合わない高価な胡蝶蘭を贈るのも場合によっては相手を困らせるマナー違反となる場合があるので注意が必要です。

就任祝い・昇進祝いに胡蝶蘭を贈るときの相場は?

就任祝い・昇進祝いに胡蝶蘭を贈るときの相場
役職 贈る相手 相場
社長就任祝い・昇進祝い 友人や知人の就任祝いに贈る場合 2万円程度
取引先の就任祝に贈る場合 3万円程度
重要な取引先の就任祝に贈る場合 5万円程度
部長就任祝い・昇進祝い 友人や知人の就任祝に贈る場合 1万円程度
取引先の就任祝に贈る場合 2万円程度
重要な取引先の就任祝に贈る場合 3万円程度

開店祝いに胡蝶蘭を贈るときの相場は?

開店祝いに胡蝶蘭を贈るときの相場
贈る相手 相場
友人・知人の開店祝いに贈る場合 1万円程度
親戚の開店祝いに贈る場合 2万円程度
家族の開店祝いに贈る場合 3万円程度
取引先の開店祝いに贈る場合 3万円程度
重要な取引先の開店祝いに贈る場合 5万円程度

出産祝いに胡蝶蘭を贈るときの相場は?

出産祝いに胡蝶蘭を贈るときの相場
贈る相手 相場
同僚の出産祝いに贈る場合 5千円程度
友人・知人の出産祝いに贈る場合 1万円程度
兄弟・姉妹の出産祝いに贈る場合 2万円程度

還暦祝いに胡蝶蘭を贈るときの相場は?

還暦祝いに胡蝶蘭を贈るときの相場
贈る相手 相場
友人・知人の還暦祝いに贈る場合 5千円程度
仕事関係の還暦祝いに贈る場合 1万円程度
親戚の還暦祝いに贈る場合 1万円程度
親の還暦祝いに贈る場合 2万円程度